井伊商店の麦味噌 〜守り抜いた伝統と3代目の挑戦〜

皆さん、こんにちは。
きさいや広場セレクトスタッフの花田です!

愛媛県の南西部に位置する宇和島の伝統食文化のひとつ、「麦味噌」。

近年、テレビ番組『ヒルナンデス』やNHKでも取り上げられ、その魅力が全国に広まっています。その中でも、こだわりの麦味噌づくりを続けるのが井伊商店さんです。

今回は、3代目・井伊友博さんにお話をうかがい、麦味噌づくりへの想いや井伊商店さんのこれからについて深掘りしました。

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なぜ「麦」だけの味噌なのか?

一般的な味噌は大豆と米麹(こうじ) を使って作られます。
しかし、井伊商店さんの麦味噌は 大豆を使わず、麦と塩だけで仕込むのが特徴です。

この製法は 宇和島地域の伝統で、現在も「麦と塩のみ」で味噌を作る会社は井伊商店さんを含めて宇和島には3社(伊予醸造さん、山内商店さん)しかありません。

愛媛県は麦味噌の原料となる裸麦(脱穀で簡単に皮が剥がれる大麦の一種)の生産量が日本一。
麦味噌はカルシウムなどの栄養価が高く、食物繊維が豊富で、腸内環境を整える発酵食品としても注目されています。

温暖な気候で育つ裸麦を活かし、地元の食文化として発展してきたのです。

江戸時代に宇和島地域を治めた宇和島伊達家の食事の献立にも麦味噌汁の記録が残っており、宇和島の人々にとって馴染み深い味だったことがうかがえます。

また、麦味噌には魚の生臭さを消す効果が高いという特長もあります。
宇和島は漁業が盛んな地域。新鮮な魚を美味しく食べるために、麦麹の力を活かした味噌が重宝されてきました。

麦味噌の味の魅力と秘訣

麦味噌は、甘みとコクが特徴です。
その秘密は、裸麦に含まれるでんぷん質を麹菌の酵素の力で分解しブドウ糖に変えます。それが自然な甘みになり、タンパク質をアミノ酸といううま味に変えます。

甘みがあって香り高い麦味噌は、麦麹が生み出す独特の味なのです。

味にはもちろん蔵ごとの個性があり、「教科書通り」ではないところが面白いとのこと。
例えば井伊商店さんでは、麦麹を作るまでに一般的に40~50時間寝かせなければならないところを、24時間で麦麹を作ります。
先代からそのように作ってきたため、製法を見て驚く他の人の話を聞いて、井伊さん自身も驚いたとのこと。


でんぷん質を分解する酵素に主に働いてもらい、うま味より甘みの強い麦味噌ができあがるのです。

麹菌は生き物です。
そのため、味噌作りはいかに微生物にとってより良い環境を作るかにかかっています。
麹菌は自身が分解で生み出す熱で死んでしまうため、まるで赤ちゃんを扱うように麦麹を混ぜたり、箱の配置を入れ替えたりして温度を調整してあげます。

出荷前に寝かせる樽に入った麦味噌を見せてもらったのですが、覆いを開けた瞬間、麦味噌の熟成した甘い香りがふわっとただよい、とても幸せな気持ちになりました。


私ももうすっかり麦味噌のとりこになっています。

消えかけた「麦味噌」の危機と地元の支え

2022年、麦味噌が 「味噌」と名乗れなくなるかもしれないという危機に直面しました。
食品表示法にもとづき愛媛県から指導が入り、大豆を使っていないものを「麦味噌」という名前のまま販売することが難しくなる可能性が出てきたのです。

昭和33年の創業以来、守ってきた伝統的な製法で作ってきた味噌を麦味噌として売れなくなるかもしれない――。

納得できなかった井伊さんは、伊予醸造さん、山内商店さんと連名で「宇和島麦みそ」の存続を訴える要望書を愛媛県に提出しました。
同時に要望書の内容をTwitter(現X)に投稿し、拡散を呼びかけました。

この投稿は大きな反響を呼び、応援メッセージがFAX、電話、手紙、SNSなどあらゆる媒体で全国から届いたそうです。
テレビ番組でも取り上げられ、多くの人が関心を寄せました。結果、行政との対話を重ね、なんとか販売を続けることができるようになりました。

この問題に対し、地元の人々も声を上げました。
「大丈夫だよ!」
と、多くの友人や宇和島市の方々が口々に声をかけてくれたといいます。

「この時、同級生が心配して声をかけてくれて、すごい嬉しかった。SNSのおかげで助かったところもあり、本当に感謝しかありません。」と、井伊さんは振り返ります。

建築家から味噌職人へ 〜3代目の挑戦〜

実は、井伊友博さんはもともと建築家を目指していたとのこと。山口県の設計事務所で働き、味噌とはまったく別の道を歩んでいました。
「帰省するたびに、おばあちゃんや地元の人から『店はどうするの?』と聞かれていました。でも、親父は何も言わなかった。」


しかし、家業を継ぐタイミングが訪れます。
28歳のとき、決意を固めて3代目として井伊商店を継ぐことに。

最初は給料も少なく、自らのお客さんを営業で見つける日々でした。並行してアルバイトをしたり、建築家としての仕事もこなしていた時期もありました。

転機はコロナ禍でした。
発酵食品の健康効果が注目され、皆さんの食卓にならぶ機会が増えました。

さらに、オンライン蔵見学など新しい取り組みも実施。
ヨーロッパの発酵食品愛好家とオンラインで交流し、海外にも「宇和島の麦みそ」を広めています。

井伊さんは、麦味噌を名乗れなくなるかもしれない危機を乗り越え、宇和島の伝統への強い思い入れをもって、今も味噌づくりをされています。

一度はまると抜け出せない麦味噌の魅力。皆さんもぜひ一度ご賞味ください。

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